忙しい中、時間をなんとかとって取得できたTOEIC700点。これで少しは英語を理解できるようになった気がしたけれど、実際のコミュニケーションでは全く歯が立たない。
この記事はそんな「TOEIC高スコアを取得できるのにも関わらず、英会話が話せない」人に向けて、英語が話せない原因と、これから目指すべき英語学習のゴールを紹介している。
「せっかくTOEICで高スコアが取れたのだから英会話ができるようになりたい!」
「英語学習の次の目標がわからない」
こんな人には特にオススメの記事になっている。少しでも助けになれば幸いだ。
TOEICで700点以上取得できても英語が話せない原因
頑張って取得したTOEIC700点。それでも英語は話せない。
「3ヶ月間。3ヶ月間だけ頑張れば、今までの英語コンプレックスから脱却できる!」
そう決心して始めた英語学習。朝はいつもより30分早く起きてシャドーイング。通勤時間中は、好きな音楽を聞きたいのを我慢して「TED TALK」。ヘトヘトで仕事から帰ってから、オンライン英会話。
「たった3ヶ月で終わるんだ…」そう自分に言い聞かせて、必死に英語勉強を続けてやっと超えたTOEIC700点。
喜びと達成感。「これで英語のコンプレックスを脱却できた!」と思っていた。しかし現実はそう甘くはなかった。英会話が上手くなるどころか、以前と変わらず愛想笑いで、絶賛自信喪失中だ。
TOEICの勉強を頑張った人たちが直面する課題
わしはオンライン英会話の事業を運営しているので、英語学習に関する相談をよく受ける。相談で多いのが「TOEICで高スコアを取得できるのに、英会話に対してコンプレックスを持っている」ケースだ。
英語に関する知識は豊富なはずの彼らでも、いざ「英語を話す」となると非常に緊張するようだ。例えば英語に関して、以下のような課題感を感じている。
TOEIC高スコアの人たちが英語で感じる課題:
- 英語の電話対応の度に手汗がべちょべちょ…
- ネイティブ複数に囲まれた時に悟りをひらく
- 英語の電話するくらいなら3倍時間かかってもメールがいい
- 英語で突然話しかけると言葉がつまる
- 英語の議論でどうしても弱腰になってしまう
ちーん…。
これらの問題は英語力に対する「自信」が原因になって起こっている。元々ない自信をつけるために取得したTOEIC高得点が、より英語力に対する自信を奪っているのだ。
この事実に気づかないと、「もっとTOEICで高スコアが出せれば…」などと考えてしまい、英語が話せない負のスパイラルに陥ってしまうケースが多い。
TOEICを学習してもこれから英語を話せるようにはならない。そう考えられる原因と、次の目指すべきゴールを考えていこう。
TOEICで英語が話せない原因 ① 「ギャップ」
TOEIC(L&R)は「リーディング」「リスニング」を測定するテストだ。受験勉強と同じで、この2つのスキルをいくら学んでも話せるようになることはない。
そもそも英語を話せる状態というのはどういうことだろうか?
わしは「母語で考えたことを、英語に落とし込んで伝えることができる」ことであると考えている。
この観点で考えるとTOEIC(W&S)を勉強しても英語を話せる状態にはならないことがわかる。なぜなら「何を伝えるか」はテストの採点には関係がないからだ。
日本では学校教育で、ずーと英文和訳&和文英訳をやらされる。そこでも評価されるのは「中身」ではなく、単語ミスや文法といったいわゆる「外見」だ。
伝える「中身」を意識しないで学習してきたツケが、いざ英語を話そうとすると何を伝えていいかわからなくなるという結果を引き起こしている。
何か伝えようとしても詳細は伝えられず、シンプルな英単語しか出てこない。(それすら出てこないこともしばしば)
以上の事実は、考えていることと実際に発信することの「ギャップ」だ。「外見」だけを磨くのではなく、「中身」を磨かなければ満足のいく英語は話せないのだ。
TOEICで英語が話せない原因 ② 「社会指標」
日本ではTOEIC高スコアは、実際の実力以上の錯覚資産をうむ。自己紹介で「TOEIC855点持ってます!」なんて伝えたら、それを聞いた人は「英語のプロフェッショナルだ!」と勘違いされるに違いない。
日本では「TOEICは英語ができる指標」として活用されている。これは悲劇だ。なぜならTOEICで高スコアを取得者は内心はこう思っている。「全然英語できないんだけどね…」
そう。TOEICは英語ができない人を判断する指標にはなりうるが、英語ができる人の指標にはなりえない。ちなみに同じような悩みを大学で英文科だった人、留学から帰ってきた人、ハーフ(わしね)の人なども感じている。
「英文科出てるんだから少しは英語話せるでしょ?」
「留学から帰ってきたんだ!なんか英語話してよ!」
「アメリカとのハーフなんだ!英語ネイティブじゃん!」
といった悪意のない脅威に襲われる。社会は過酷なのだ。
TOEICで高スコアを取得してからの英語勉強
「話せる英語力」はどうやって習得できるのか
TOEICを含めて、あなたが今までの受けてきたテストは点を取るためのものだ。しかしコミュニケーションには点数がない。だから今までの勉強法そのものを変えないとだめなのだ。
TOEICの高スコアは英語を話すための基礎固めだったと捉えよう。TOEICで基礎力がついた後は、あなたの考えを正しく伝えるトレーニングに焦点を当てて勉強しよう。
「考えを正しく伝えるトレーニング」というのは一般的な英会話スクールで学習する、英語の日常会話やフレーズの勉強ではない。あなた自身の「想い」「考え」を、相手に伝わるよう論理的に英語を話す勉強だ。
あなたが伝えたい結論を納得させるために伝える「理由(リソース)」は十分なのか、考えられる反論に対してどう答えるのか。つまり英語独特の論点展開をできるようにする勉強が必要になる。
学校教育からの癖で、日本人はしばしば「全体最適の解」を意見として伝える傾向がある。つまり周りが納得するような「当たり障りがないこと」しか発言しないということだね。
残念ながら日本で美徳とされる観点も、英語では価値がないと判断される。なぜなら西洋語は「君はいったいどう考えるの?」といった概念が基礎となっているからだ。
ビジネスで通用する英語力を身につけるためには
ビジネス英語とは簡単にいうと自動翻訳できない英語だ。つまりそれはリアルタイムであなたの意見を明確に表現できる英語力のことを指すだ。
ビジネスであなたの意見を求められる場面は、あなたの専門分野に関することだ。まずは自分が圧倒的に価値を出せる領域に関する英語の背景知識をインプットするところから始めるのがいいだろう。
ビジネスで通用する英語力の身につけ方:
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- STEP01: 専門分野に関する英語知識をインプット
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- STEP02: インプットに対するあなたの意見を論理的に書き出す
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- STEP03: フィードバックを受けて意見に磨きをかける
英語学習のゴールは「TOEIC高スコア取得」から「自分の考えを正しく伝える」ことになる。
TOEICの勉強と比べると点数も出ないし、なかなか上達を実感できないだろう。それでも勉強を続ける必要がある。なぜなら言語習得において「継続」は一番重要な要素だからだ。
もし「本当に英語を習得する必要があるのか分からない」ということならば、以前書いた記事が役に立つはずだ。あなたの人生を長い目で考えときに、英語が必要になるかじっくり考えて判断することを強くオススメする。
ビジネスにおける英語の必要性についての記事:
まとめ
英語の未来「10年で10億人以上増えた英語話者」
英語話者はいまだに増え続けている。一方で日本語はどうだろう。2050年に世界中でビジネスをするために日本語を学んでいる国はあるのだろうか…。
テクノロジーの母体は全て英語だ。つまりこれからのビジネスは英語を中心に回っていく。
「流石にそれは誇張しすぎなんじゃないの?」 なんて思ったそこのあなた。
日本が世界一と言われた半導体産業でぜ台湾、韓国に負けてしまうのか? その一番の原因はなんだと思う?
全ての原因は英語だ。
「まずは日本市場からシェアをとって…」なんて、間違ったターゲット像に固執しすぎたツケが回ってきたのだ。
「British Council(英国放送協会)」によると、2006年に約8億人だった英語話者が今は20億人のようだ。このペースでいけば2050年には世界の半分以上が英語が話せるのが当たり前になっているだろう。
テクノロジーは英語を軸に進化し続ける。世界の議論は英語でおこなわれる。
ここまで想像を膨らませたときに、本当に今のままでリスクヘッジができているか。英語を習得するべきなのかを考えてみてもいいのではないだろうか?
TOEICはあくまで英語の基礎固めであると考えよう
今回の記事ではTOEICで高スコア取得できても一生英語は話せないこを説明した。しかしTOEICに投資したあなたの時間は無駄ではない。
言語習得には暗記も必要だ。TOEIC高スコアを取得できるあなたはその一番厳しい第一歩をクリアした。あとはあなた自身を伝える経験値を増やしていくだけだ。
これからの英語勉強に少しでも不安がある人は一度話を聞かせて欲しい。今までの経験から、なにか手伝えることがあるかもしれない。
最後まで読んでくれてありがとう。少しでもこの記事が助けになれば嬉しい限りだ。
TOEIC勉強方法に関する記事:
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