CEFR「B1」から「B2」に上がるために必要な学習方法
CEFRとは?
まずはCEFRとは一体何なのかを理解しておきましょう。
CEFRとは、ヨーロッパ全体で定めた外国語習得のレベルを表すガイドラインです。外国語習得のレベルに合わせて、基礎的な「A1」からネイティブレベルの「C2」までの6段階で習得度合いを表します。
以下がCEFRが定めている各レベルの定義です:
C2 | どんな形態であれ英語を容易に理解することができる。英語の情報を適切にまとめることができ、要点を一貫した方法で再構築することができる。流暢かつ自然に自己表現ができる。 |
---|---|
C1 | 高度な構文を理解して要点を理解することができる。言葉に詰まらず流暢かつ自然に自己表現ができる。学問、職業、社会的な場面で言語を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題にも詳細な文章を再構築することができる。 |
B2 | 自身の専門分野を含めた抽象的な話題でも複雑な文章の要点を理解できる。ネイティブと自然にコミュニケーションを取ることができる。幅広い話題に関して、明確な文章を構築することができる。 |
B1 | 仕事・学校・娯楽などの身近な話題について、一般的な話し方であれば要点を理解できる。日常的に起こるほとんどの問題について対応することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題については要点の明確なシンプルな文章を構築することができる。 |
A2 | 基本的な個人情報や家族情報・買い物。・仕事など、自分に直接的関係がある領域に関してよく使われる表現ならば理解できる。簡単で日常的な範囲なら身近で日常の事柄について、直接的な情報交換に応じることができる。 |
A1 | よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解でき、使用することができる。自他紹介・住居・友人・自身の持ち物などの個人的情報について、簡単な質問をしたり答えたりすることができる。相手がゆっくりはっきりと話して、言い回しを簡単にしてくれるなどすれば、簡単なやり取りをすることができる。 |
自分に関連のあることしか英語で表現できない状態を「A1」と定義し、レベルが上がるにつれて「より幅広い話題に対して説得力のある構文を作ることができる」ようになります。
CEFR「B1」と「B2」の違いは?
CEFRの「B1」と「B2」は共に「自立した言語使用者(English Independent User )」のカテゴリに属しています。では、その具体的な違いは何でしょう。実際の定義を元に比較してみましょう:
B2 | 自身の専門分野を含めた抽象的な話題でも複雑な文章の要点を理解できる。ネイティブと自然にコミュニケーションを取ることができる。幅広い話題に関して、明確な文章を構築することができる。 |
---|---|
B1 | 仕事・学校・娯楽などの身近な話題について、一般的な話し方であれば要点を理解できる。日常的に起こるほとんどの問題について対応することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題については要点の明確なシンプルな文章を構築することができる。 |
上記でハイライトした部分を更に細かく分解すると、以下の3点が重要なポイントということが分かります:
- 英語の理解力:複雑な話題でも要点を理解できるか
- 英語の運用力:幅広いシチュエーションで使用できるか
- 英語の伝達能力:詳細に要点を伝えることができるか
つまり上記の3点を意識して、学習することで着実にCEFR「B2」レベルまで英語力を伸ばすことが可能です。
CEFR「B2」に必要な学習時間
ちなみにCambridge Assessment Englishが公表しているガイドラインでは、CEFRのレベルを一つ上げるために200時間必要であると明記されています。
以下がガイドラインの簡単な概要です。参考程度にご覧になってください:
- C2:1,000 – 1,200 時間
- C1:700 – 800 時間
- B2:500 – 600 時間
- B1:350 – 400 時間
- A2:180 – 200 時間
上記の学習時間はあくまで「推定」だそうです。その他にも英語の習熟度には以下の4つの要素が影響を与えると書かれいます:
- 要素1:英語学習歴
- 要素2:英語学習の強度
- 要素3:年齢
- 要素4:学習時間以外の英語の使用量
言語は使用者の「メタ認知能力」によっても結果が左右されます。あくまで参考程度に考えると良いと思います。
様々な方を指導していると「振り返りの質」「元々のインプット量」「発音の感度」の3点GROUPが高い人の習熟速度が高いと感じます!
それでは話を元に戻して、CEFR「B2」に必要な3つの観点をそれぞれ説明していきます。
1. 理解力:身近な話題から専門的な話題へ
理解力の幅を広げるためには、様々なジャンルの話題に関する知識を英語でインプットする必要があります。図にすると以下のようなイメージです:
具体的には海外のニュースだけでなく、時にはアカデミックな分野に関しても英語で知識をインプットすることが重要です。
例えば「ネイチャー(Nature)」で掲載されている論文や、「アカデミック・アース(Academic Earth)」の講義を参考にすることで、より専門的な話題のインプットを増やすことができます。
複雑な文章は読み飛ばさずに、立ち止まって正しく要点を理解するようにして精読のスキルを高めましょう。難しい文章に慣れることで、コミュニケーションでも要点を理解することが容易になります。
IELTSやTOEFLなどアカデミック要素が強い英語試験で勉強するのもオススメです!点数が出るのでモチベーションが上がること、間違ったポイントが明確になることがオススメな理由です!
2. 運用力:限定的なシチュエーションからコミュニケーション全般へ
英語を円滑に運用できるシチュエーションを増やすことが、言語の運用力を高めるために必要です。
言語はシチュエーションごとに使われる「特有のフレーズ」や「コミュニケーションの型」があります。「フレーズ」と「型」を網羅的に学習することが重要です。
学習方法は、海外ドラマや映画などのワンシーンの会話展開を予想しながら視聴するのがオススメです。フレーズや会話パターンを把握することで、次にどんな話が展開するかを想像することができるようになります。
英語の日常会話が一番難しい
一方で見落とされがちなことが、日常のコミュニケーションに必要な英語の運用力です。
なぜなら、コミュニケーションは不確実性の連続だからです。つまりシチュエーションが限定されない、日常のコミュニケーションが言語運用のハードルが最も高いです。
さらに、コミュニケーション能力は英語に限った話ではありません。言語使用者の「気質」や「コミュニケーションの癖」があるので「これを学習したら成果が出る!」という因果関係が成立し難いです。
例えば、あまりにも「完璧な英語」を求めすぎると、コミュニケーションが逆に不自然になったりします。自分のコミュニケーションの癖を正しく理解して、どこを改善するべきかをしっかりと分析しましょう!
日常会話の運用力を高めるためには?
「日本語で問題なくコミュニケーションが取れるのに、英語だとできない」
そんな場合は「日本語で話す内容を客観的に認識すること」が効果的です。
「どんな場面でどのような会話をするのか」「沈黙が続かない時に、どんなことを話しているのか」日本語のコミュニケーションの癖を認知したら、それを英語でどう表現していくかを考えます。
日本語で表現できることを、着実に英語に落とし込む。大変な作業ですが、表現を蓄積していくことで運用できるシチュエーションが増えていきます。
3. 伝達力:シンプルな表現からより詳細な表現へ
「英語で詳しく話すと、話がややこしくなるから…」と思って、あえてシンプルすぎる英語で表現することに慣れていませんか?
「コミュニケーションの流れを止めたくない。」「詳しく伝えても、相手を混乱させてしまうだけだ。」
こう思ってしまい、英語のコミュニケーションが弱腰になってしまいがちな人も多いのでは。
ビジネスシーンでは、意見を求められる場面も多いと思います。そんな時に、良かれと思ってあえて簡潔に話すことで、聞き手に「幼稚」という印象をもたれてしまうことがあります。
伝えたい内容が何もないのなら、仕方ないことかもしれません。しかし、日本語では本当は伝えたいことがあるのに、あえて伝えないのは少しもったいない気がします。
会話の速さに惑わされない
ゆっくり落ち着いて話せば、詳しい内容も英語で伝えられる場面が多いはず。会話のテンポをはやくしてしまいがちですが、「会話のはやさ」「反応の速さ」はCEFRの評価観点には含まれていません。
CEFR以外のIELTS、TOEFLもはやく話すことが評価に含まれていませんからね。すで学習量は十分なのに成果が出ない人は、このマインドセットを意識すると良いかもしれません。
番外編:言語は話者の自信に左右される
上記ではCEFRのレベル上げるためのテクニックを紹介しました。しかし、忘れていはいけないことがあります。
それは、言語は話す人自身の「自信」によって大きくアウトプット精度が左右されるということです。
「この文法で合ってるかなぁ…」
「英語を話すと、いつも聞き返されるんだよなぁ…」
のように、英語を話す時に極度に緊張することはありませんか?
そのように緊張することで、声量が小さくなったり、ちょっと言葉に詰まっただけで「sorry…」とコミュニケーションが逃げ越しになったりします。
例えばあなたの周りに「自分より英語ができないんだけど、周りと楽しそうに話しているな」という日本人がいませんか?
それは、その人の方が英語に対してより気楽に考えているということです。
言語を100%変換することはできません。その国の文化感に根付いた言葉や価値観が言語には反映されているからです。
そのため「言語はそもそも100%伝わらない。80%相手に何となく伝わればOK!」というようなリラックスした姿勢を持って話すことが実は大切だったりします。
自信を持つ方法は他にもある
自信を持つ方法は、リラックする以外にもあります。それは、英語以外の分野でコミュニケーション相手より優位に立つ専門性を身につけるということです。
例えば、
- 業務スキル
- 分析力・論理思考力
- デザイン力、など
理想を言うと「相手に何かを教えることができる状態」がベストです。
教えられる側(生徒)は、自然とあなたの言葉に耳を傾けて、集中して情報を聴き取ろうとします。相手の聞く姿勢が整うことで、コミュニケーションは驚くほど円滑に進みます。
「英語で上手くコミュニケーションができないから、英語をもっと勉強しなきゃ…」
というのも一つの手です。
しかし、残念なことに言語にはセンスがあります。苦手な人が100時間勉強しても、問題が解決できるかは分からないのです。
それよりも、その100時間を自分の刃を研ぐことに使う。
相手に頼られるようになると、自然と英語のコミュニケーションが増えます。英語のコミュニケーションが増えると、自然と英語が上手くなっていきます。
スキルも英語力もレベルアップする。今後のキャリアを考えても、メリットがある考え方です。
CEFRB1からB2に上がるために必要な学習方法 まとめ
英語を話す抵抗感を脱却したところに成長がある
CEFRのB1レベルに属する人が、B2レベルに上がるにためには勇気が必要です。
分からない可能性がある。恥をかく可能性がある。惨めな気持ちになる可能性がある。
英語がある程度できるようになると、挑戦できるのにあえて挑戦しない選択をすることも多くなります。誰しも自分が一番大切ですからね。
しかし、B2レベルの運用力を身につけるためには様々なシチュエーションでの場数が重要です。あえて、不得意な場でも飛び込んでいくことで得られる経験値の方が、レッスンを受けるよりも何倍も高かったりします。
抵抗感を脱却したところに、言語の成長がある。言語だけに限った話ではないかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最後に何か英語学習でお悩みなどがあればお気軽にご連絡ください:
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