「言語習得理論ってよく聞くけど、結局なんなの?」
最近になって、英会話スクール等で頻繁に宣伝されている第二言語習得理論。文字から推測するに、言語を習得する研究分野ということは想像できますが、実はあまり詳しく知らない、という方も多いのでは。
そんな方のために、今回は第二言語習得理論を参考にした英語習得の5段階のレベルを紹介します。
英語習得の5段階レベル
さっそく結論から書くと、英語習得のは以下の5段階のレベルに分類されます:
- ステージ1:沈黙 / 受動的
- ステージ2:早期生成
- ステージ3:発話初期
- ステージ4:中級流暢性
- ステージ5:上級流暢性
ステージ1から、ステージ5に至るまで最短で約2年。最長で約10年の学習が必要と言われています。
今や小学校から英語教育が導入され、大学卒業時までにおよそ10年は英語教育に携わる機会があります。言語習得理論の観点からみると十分すぎる学習期間ですが…
すいません、脱線しました。さて、それではそれぞれのステージの特徴を、説明していきますね。
ステージ1:沈黙 / 受動的
英語習得の初期レベルは、言語を自ら生成できる事ができない状態です。
個人の性格や資質にもよりますが、以下の特徴があります:
- 語彙力:1,000語未満
- 学習期間:数時間 ~ 数ヶ月
- 学習内容:語彙 / 発音
全く自分の知らない言語に触れたとき、何を返答すればいいか、どうやって発音すればいいか分かりませんよね。
まさにその状態が、言語習得の初期段階です。
発音の習得は初期段階でおこなう
日本で英語を習得するときに、発音を習得するケースは稀です。
なぜなら指導者が正しい発音を教えることができないケースが多いからです。
しかし、第二言語習得理論をベースに考えると、初期の最も重要な基礎となる能力を無視して学習しています。
そのことによって、英語知識が身につき始めた中級レベルで、多くの日本人が英会話に問題を抱えています。
発音は初期段階で行うべき、重要な基礎です。言語習得において、無視できないパートだということを覚えておきましょう。
ステージ2:早期生成
語彙力が1,000語を超えた段階から、早期生成のステージに移行します。
特徴は以下の通り:
- 語彙力:1,000語 – 3,000語
- 学習期間:約6ヶ月
- 学習内容:語彙 / 文法
文法的には間違っていても、短い文章で英語を生成する事ができるようになるのがステージ2です。
ステージ3:発話初期
語彙力が3,000語を超えた段階から、次は発話初期のステージに移行します。
特徴は以下の通り:
- 語彙力:3,000語 – 6,000語
- 学習期間:約6ヶ月
- 学習内容:語彙 / 文法 / コミュニケーション
短文をつなぎ合わせて、文章を生成したり、質問文を生成する事ができるようになるのがステージ3です。
基礎が定着したことによって、もっとも学習定着率が高まります。またライティングとリーディングによる学習を開始される重要なステージです。
ステージ4:中級流暢性
語彙力が約6,000語を超えた段階で、中級レベルのステージに移行します。
特徴は以下の通り:
- 語彙力:6,000 – 10,000語
- 学習期間:約1年
- 学習内容:語彙 / 難解な文法 / コミュニケーション
ライティングとスピーキングのスキルが伸びることによって、より複雑な表現を生成できるようになるのがステージ4です。
流暢に話すために、今まで母語を英語に変換していたプロセスが、徐々に英語のみの思考で言語を生成できるようになる段階です。
ステージ5:上級流暢性
語彙力が約10,000語を超えたあたりから、上級レベルのステージに移行します。
特徴は以下の通り:
- 語彙力:10,000語以上
- 学習期間:半永久的
- 学習内容:専門的な語彙 / 表現 / 一貫性のある主張
上級レベルまで到達すると、言語の流暢性を維持するために半永久的に学習を継続する必要があります。学習といっても、日常的に英語を話す環境があれば問題はありません。
学習内容はよりテクニカルになり、コミュニケーションをする上で一貫性のある主張を組み立てる力を伸ばしていく必要があります。
また、専門的な語彙力を伸ばすために歴史や文学など、言語と関連ある分野の廃形式を学習する事が重要です。
最後に
語彙力のレベルなら日本人はステージ5
各ステージの特徴をみると分かるように、語彙力の観点では日本人の多くはステージ5に属しています。
しかし、コミュニケーションの観点からみると「ステージ3」と「ステージ4」のあたりに属していることが多いです。
語彙力があるのにステージ3や4に属している人は、英語力を伸ばすために必死に語彙や英語表現を学習しますが、いくらやっても効果が出ません。
なぜなら、本質的な原因は語彙力ではないからです。
本質的な原因は発音の未習得
原因は基礎の段階で、発音を習得していなかったことです。
正しい発音を習得できていないと、スピーキングだけでなくリスニングにも悪い影響があります。逆に、正しく発音できる音があるほど、聞き取れる音が増えるわけです。
ちなみに正しい発音というのは以下の項目です:
- 強勢
- イントネーション
- 音節構造(リズム)
- 個々の発音(フォニックス)
- 音声変化
- チャンク
以上に挙げた項目のうち、1つでも正しく理解ができていないものがあると、流暢性の観点において問題をかけることになります。
中国語でピンインを学ばない人はいない
少し話が脱線しますが、中国語を学ぶときに一番最初に学ぶことは「ピンイン」です。
ピンインとは中国語特有のイントネーションで、同じ音でもイントネーションを変えることで意味が変わります
どの語学学校、どの教科書をみても必ずピンインから始まります。
なぜならピンインを習得できないと、学習効率が悪くなり、そもそもコミュニケーションが取れないからです。
それほど重要な発音が、英語ではなぜか軽視される傾向があるようです。もしかしたら、学校教育の影響なのかもしれませんね…
中学生・高校生の時は、からかわれたりするので授業中わざと日本語っぽい英語を話していました
第二言語習得理論は仮説が中心
最後に第二言語習得理論についてですが、公表されている理論は現段階であくまで仮説です。
「確実にこの方法が伸びる!」
と明言できる学習方法は実はありません。仮説のなかでも特に有力視されているのは以下の3つの考え方です:
- ポイント1:文字でなく音から学ぶ
- ポイント2:断片でなくかたまりで学ぶ
- ポイント3:英語をでなく英語で学ぶ
また、発音習得の重要性も挙げられています。
「言語学習理論の観点からこの勉強方法がベストです!」
こんなことをいう人がいたら少し注意深く話を聞いてみるといいかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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