「英語のリスニングが聞き取れない…」
この記事は、そんな課題を抱く方に向けて、リスニングを伸ばすための方法を体系的に紹介していきます。
今回は「強勢」について。前回の記事で紹介したように、英語は「強勢拍子」、日本語は「音節拍子」のリズムで発音されます。。
今回はそんな「強勢拍子」の英語が、どのようなときに「強勢」されるのか、強勢が置かれる位置について具体的に説明していきます。
前回の記事は以下を参照してください。
リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう
英語の日本語の「強勢」の違い
まず早速ですが、以下の例文を発音してみましょう。
英語と日本語の音節と強勢の違い
A. English is easy.
B. English is very easy.
C. An English lesson is very easy.
上記の3つの文章に「音節」がいくつあるか分かりますか? 答えはAが3音節、Bが4音節、Cが6音節です。
では「強勢」はいくつあるか分かりますか? 答えはどれも「Eng(lish)」と「ea(sy)」の2箇所のみです。
英語のような強勢拍子の特徴は「強勢のある音にビートがくる」「ビートの間にある音節は、何語でも同じ時間内に発音される」ことにあります。
一方、日本語のような音節拍子は「全ての音節が同じ強さで発音される」特徴があります。例えば例文Cの内容を音節拍子で発音すると「アン イングリッシュ レッスン イズ ベリィ イージー」と平坦な音に聞こえます。
英語の場合、音節の数に関係なく [ English ] [ easy ] の音が同じ時間内に発話され、音の強弱が明確なことがわかります。
「文強勢」と「語強勢」とは
辞書で発音記号をしらべると [ ‘ ] という記号が示してある場合があります。例えば [ very ] と調べたときに出てくる発音記号は [ véri ] です。このように単語にごとに示している強勢を「語強勢」といいます。
「語強勢」は単語が単独で発音される場合に、強勢がかかるポイントを示しています。
一方「文強勢」は、発話者が文章の中で重要だと考える単語に対して与える強勢です。つまり、同じ文章でも話者が伝えたいメッセージの意図に応じて文強勢は変化するのです。
文強勢がないと音が消えて無くなる
文強勢がある音節は比較的に「ゆっくり・はっきり・かつ強く」発音されます。一方で強勢のない音節は、「速く・曖昧に・かつ弱く」発音されます。
日本語は一音一音の音を明確に発音しますが、英語は強調するポイント以外は曖昧な音で発音されるという点が、日本語話者にとって英語のリスニングを難しくしている点です。
以下の例文で、下線部がついている部分は強勢がなく音が消滅しています。実際に声に出して確認してみましょう。
文強勢がないと音が消失する例
A. After a while he fell fast asleep
B. I have said so over and over again
文強勢が置かれる位置は?
先ほど「文強勢は話者が重要だと思う音節に与えらる」と述べましたが、観点は以下の4つに分かれます。
文強勢が置かれる位置① 情報の観点
例えば以下の文章例をみてください。
情報の観点で文強勢がかかる例
【ケース1】
A: What sort of night was it?
B: It was awfully hot night.
【ケース2】
A: Was it hot last night?
B: It was an awfully hot night.
【ケース1】と【ケース2】は同じ回答をしていますが、質問に対応する音節に強勢がかかっています。
【ケース1】では [awfully ] [ hot ] の2つの音節、【ケース2】では [ awfully ] の1つの音節に対して強勢がかかっています。「どんな夜だった?」という質問と、「昨晩は暑かった?」という質問に対応する情報に対応する語がより情報として重要だからです。
文強勢が置かれる位置② 関心の観点
相手の言葉に対して、オウム返しに繰り返すことで、驚き・非難・皮肉・喜びを表現することが英語ではあります。
例えば以下の例文をその場面を想像しながら読んでみましょう。
関心の観点で文強勢がかかる例
A: Actually, I don’t love hhim.
B:You don’t love him!? Then why are going to get married?
Aが「彼を愛していないの」と伝えたことに対して、Bは「愛していないだって!?」と驚きを表現しています。このときのBの [ You don’t love him. ] は、「あなたは彼のことを愛していない」という情報を伝えていないことはわかりますね?
同じことを繰り返し、特に驚いた部分(この場合赤字の [ don’t love ])に強勢がかかることで文章を情報の伝達から、感情の表現に変化しています。同じ表現でも強勢で意図が変わるのが、英語の癖であり特徴です。
文強勢が置かれる位置③ あえて重要じゃない音節が強勢されるパターン
今まで述べてきたことに矛盾があるように感じますよね。しかし言語は矛盾した「法則や原理」があります。試しに以下の例文をシーンをイメージしながら聞いてみましょう。
重要じゃない音節に強勢がかかる 例
A: What are you doing?
B: I am doing my homework.
A: It seems you are playing with your laptop.
B: I am doing my homework!!
いかがでしたか。Bが「ちゃんと宿題しているよ!」と文全体の内容を強調しようとして [ am ] の部分に強勢がかかっているのはイメージできたでしょうか?
このように情報伝達する上で重要ではない [ am ] などの語に強勢がかかり、文全体を強調するパターンもあります。
文強勢が置かれる位置④ 文の終わりに強勢がかかるパターン
文の終わりに強勢をかけることで、その発話全体を強調する効果があります。例えば以下の例文の赤字に強勢をつけて発音してみましょう。
文の終わりに強勢がかかる 例
A. That’s not my fault.
B. That’s not my fault.
Aが「私のせいではありません」という情報を伝えているのに対して、Bが「私のせいじゃないですって!」とメッセージを強調しているのがイメージできると思います。
文強勢を文の終わりにかけることで、メッセージがより主観的に感情的に変化します。
英語の「強勢」について まとめ
英語の強勢を意識するだけでスピーキング・リスニングの問題は改善される
上記で述べたように「強勢拍子」の英語は発音する上で、音の強弱が重要になります。強勢がかかる音は強く・はっきり。強勢がかからない音は弱く・曖昧に、です。
英語をコツコツ勉強していると、全ての音を正しくはっきりと発音しようと思ってしまいがち。しかしネイティブとの会話は曖昧な音で溢れているはずです。
この発音の強弱を区別する英語の「癖」を理解することで、スピーキング伝わるようになり、英語のリスニングが聞き取れるようになる重要な一歩になります。逆を言えば、強勢拍子を習得しない限り、リスニング・スピーキングどちらも進歩しません。
少しでも不安が残る場合は、最重要課題として取り組んだ方がいいでしょう。
試しに、強調する音節以外を曖昧に英語を話してみてください。何の問題もなく相手は理解できるはずです。
今回は英語の強勢について書きました。最後まで読んでいただきありがとうございます。
英語力に伸び悩んでいる方は以下の記事をぜひ参考にしてくださいね。
英語のリスニング力を伸ばす方法シリーズ
序章:英語のリスニング上達方法まとめ【中上級者向け】
第1弾:英語のリスニングが上達しない7つの原因
第2弾:リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう Part1(今の記事)
第3弾:リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう Part2
第4弾:リスニング力を伸ばすために英語の「音節構造」を理解しよう Part3
第5弾:リスニング力を伸ばすために英語の「イントネーション」を理解しよう Part4
第6弾:リスニング力を伸ばすために英語の「母音」を習得しよう Part5
第7弾:リスニング力を伸ばすために日本語話者が苦手な「子音」を習得しよう【前編】
第8弾:リスニング力を伸ばすために日本語話者が苦手な「子音」を習得しよう【後編】
第9弾:リスニング力を伸ばすために適切なシャドーイングを繰り返そう【完結編】
[…] 参考記事:リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう Part1 […]
[…] 第1弾:英語のリスニングが上達しない7つの原因 第2弾:リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう Part1 第3弾:リスニング力を伸ばすために英語の「強勢」を習得しよう Part2 […]
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