「キレイな英語の発音を習得したい…」
この記事はそんな人のために、英語の発音習得において最も効果的な学習方法を紹介します。
「カタカナ英語でも通じる!英語は発音より中身が大事だ!」 そんな意見を耳にすることもあるかもしれませんが、SOLO ( ソロ ) は英語習得において発音は最重要課題であると考えています。
発音を習得することで学習効率があがるだけではなく、初対面で相手に与える印象が変わります。 円滑なコミュニケーションの観点からも、発音習得は避けて通れまないでしょう。
今回紹介する方法は、「第二言語習得理論(Second Language Acquisition)」と「音声学(Phonetics)」の領域の知見を参考にしています。
英語初心者から、伸び悩んでいる方まで、少しでもこの記事が助けになれば幸いです。
英語の発音を効率よく習得する方法
発音を効率よく習得する手順は?
さっそく結論ですが、英語の発音は以下の手順で学習することが最も効果的であると科学的に証明されています。
英語の発音を習得する正しい手順:
- SEEP01 「発音記号」ごとの個別の音を再現する
- SEEP02 「単語」ごとの発音記号が複合した音を再現する
- SEEP03 「文章全体」の音を再現する
学習方法を知る前に、まずはそれぞれのステップについてある程度の内容を理解してみましょう。
STEP01 「発音記号」ごとの個別の音を再現する
英語の発音をこれから学ぶ人にとって一番最初にやるべきことは、「発音記号」ごとの音の出し方を習得することです。
発音記号ごとの「舌の位置」「唇の形」「息の出し方」を理解して、身体に覚えさせる必要があります。発音記号を覚えることで英語特有の「音感」が身につき、よりスムーズに英語をインプットすることができるようになります。
STEP02 「単語」ごとの発音記号が複合した音を再現する
発音記号を習得した後は、単語を発音する練習にうつります。個別の発音記号を組み合わて英語の音を出すトレーニングに焦点を当てます。
例えば「Hurt(hˈɚːt)」と「Bird(/ bˈɚːd /)」のように、音の構成が同じ単語があります。音の構成が同じということは、「舌の位置」「唇の形」「息の出し方」は同じになります。
そんなことを意識しながらSTEP01で学んだ発音記号を実践に落とし込んでいきます。
STEP03 「文章全体」の音を再現する
単語を正しく発音できるようになった後は、いよいよ英語の文章全体の発音練習です。
独立した英単語が文章になることで、「音声変化」が起こります。例えば「Get out of here!」という文章をカタカナで表現すると以下のようになります。
- 音声変化なし:[ ゲット アウト オブ ヒア]
- 音声変化あり:[ ゲッタウタブィア ]
少し顕著な例ですが、音声変化のルールを理解することで初めて聞く表現でもスムーズに理解することができるようになります。
英語の発音を練習するときの必需品
英語の発音を練習するときに、必ず用意して欲しいものが「録音機器」です。もちろん携帯電話の音声レコーダーでも大丈夫です。
英語の発音は「自分はできている!」と思っていても、客観的に聞いてみると「なんか英語っぽくない…」というケースが多くあります。音の出し方を頭で理解した後は、ネイティブの音に近づけるように、何度も録音と改善を繰り返すことが重要です。
最初のうちはめんどくさい作業でかつ、「うわぁ。私の声、気持ち悪っ!」と思い、げんなりしますが、録音をすることによって学習効果が劇的に高まります。
発音を効果的に習得するためのそれぞれのプロセス
STEP01 「発音記号」ごとの個別の音を再現する
発音記号は「IPA(International Phonetic Alphabet)」を理解することが重要です。日本語で「国際音声記号」と訳され、英語に限らずあらゆる言語の音声と音の出しかたについて文字で表記したものです。
「IPA (国際音声記号)」の参考:
チャートを見ると何だか難しそうな文字がたくさん並んでいるのですが、簡単に言うと「『口の形』『舌の位置』『声を出す位置』によって音が変わるんですよ!」ということです。
「口の形」というのはいわゆる『両唇音』( [ p ] [ b ])や、『歯茎音』([ s ] [ z ]など)ですね。「舌の位置」「声を出す位置」も細かい専門用語がありますが、教員でもない限り、専門的な用語を覚える必要はないと個人的には思います。
というのも今まで英語を教えてきた経験上、専門用語の内容を意識しすぎるとどうしても不自然な英語の発音になってしまうケースが多いからです。
人によって「舌の長さ」や「口の大きさ」は違うので当たり前といえばそうなのですが…。特に日本人は舌が短い人が多いので、無理に専門用語に合わせようとするとどんどんナチュラルな英語から遠ざかってしまいます。
これを覚えれば完璧!「母音」の発音記号
まずは「発音記号」を理解しましょう。各記号が実際にどの英語の音になるかを理解することで、初めて見る英単語の発音も不思議と理解できるようになります。
まずは母音は以下の表の通りです。
基本的には「短母音」「長母音」「複合母音」の3種類に分かれます。特に個人的に重要だと思う点が「短母音」の [ a ] [ ə ] [ ʌ ] [ æ ]の発音です。細かいニュアンスの違いですが、これらの音を軽視してネイティブの方と話していると見事に聞き間違えが起こります。
小話:[ a ] の発音が問題で理解されなかった過去の経験
「銀行に行きたい!」って英語でどうやって伝えますか?
そうです。「I want to go to a bank.」ですよね。この「バンク」がなかなか厄介で、理解されないことが過去にありました。
カタカナの「バンク」を発音記号に記すと [ bˈʌŋk ] (寝棚)という意味になります。何度も「バンク」と伝えても、一向にネイティブの方は理解してくれませんでした。
結局「銀行」を表す「バンク」は [ bˈæŋk ] と発音しなくてはいけません。この時かいた冷や汗がトラウマになり、何度も [ æ ] の発音を練習しました…。
「母音」を習得できたら「子音」をマスターしよう
母音をマスターしたらいよいよ「子音」です。「子音」の発音記号は以下の通りです。
英語の「子音」には日本語には存在しない音が数多くあります。特に日本人にとって難しい音は、ご察しの通り [ r ]と [ l ]、次に [ s ]と [ ʃ ]、最後に [ θ ]の5種類です。
表を見ていると気が遠くなりますが、上記の5音以外は意外とスムーズに音を出すことができるはずです。「母音」を含めて、長くても1週間ほど練習を繰り返せば習得できると思います。
具体的な「発音記号」の音の出し方
発音記号を学習するのに適しているのは動画教材です。なぜかというと、実際に口の動きを確認しながら音を理解することができるからです。
「Youtube(ユーチューブ)」で検索すると、質の高い動画教材が数多く出てきます。例えば、アメリカ英語を学習するのならば、「Rachel’s English (チャンネル)」がオススメです。基礎から応用まで、アメリカ発音を網羅的に学習することができます。
イギリス英語を学習する場合は、「BBC(英国放送協会)」が無料で提供している発音教材がオススメです。短い動画なので気軽に視聴できて、説明も具体的でわかりやすいのが特徴です。
「発音を学習しよう!」という意思を持ったということは、これから英語を習得することを目指しているのだと思います。
日本の教材の方が抵抗がないかもしれませんが、最初の段階から英語に触れて置くことで英語の語感をよりスムーズに習得することが可能なので英語の教材を選びました。
発音を学習するのに適した動画教材:
STEP02 「単語」ごとの発音記号が複合した音を再現する
個々の発音記号が理解できるようになったら、単語ごとに音を出す練習をします。
といっても先ほど紹介した動画を見るとわかるのですが、個々の発音記号を練習する時に単語ごとに音を出す練習をしています。
「じゃあ何もしなくてもいいのか?」と言えばそうでもなくて、この段階では実際に発音記号が理解できているかを確認する必要があります。
以下に「発音記号」のみを複数書き出してありますので、実際に声に出してみてください。声に出した時に、発音記号が示している英単語が分かれば理解できていると言えるでしょう。
発音記号のみの表記 (アメリカ英語表記):
- / ˈbeɪs.bɑːl /
- / ˈkɑːk.roʊtʃ /
- / ˈsʌn.ʃaɪn /
- / ˈruː.stɚ /
- / ˈtel.ə.vɪʒ.ən /
- / ˈbæk.ɡraʊnd /
- / ˌnjuː ˈziː.lənd /
- / ˈθɪr.i /
どうでしょう、できましたか?
もし答えが必要でしたら、一度コメント欄にでも連絡いただければと思います。
発音の基礎を身につけるためのに「Tongue Twistter(早口言葉)」を活用しよう
少し子ども騙しのように聞こえますが、「Tongue Tsistter(早口言葉)」は発音習得を劇的に高めてくれる練習方法です。
練習したい発音が含まれている早口言葉を検索して、何度も声に出して練習してみましょう。最初は口が絡まりますが、何度もやっていくうちにだんだん自然な口の形が身についていきます。
「Tongue Twistter(早口言葉)の例:
Peter Piper picked a peck of pickled peppers; A peck of pickled peppers Peter Piper picked;
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers, Where’s the peck of pickled peppers Peter Piper picked?
参考動画:Peter Piper Picked a Peck of Pickled Peppers | Tongue Twisters
STEP03 「文章全体」の音を再現する
英単語の発音を再現できるようになったらいよいよ最終段階「音声変化」です。
音声変化には決まったルールがありますが、発音記号のケースと同様で専門的な知識がつきすぎてしまうと、ナチュラルな発音から遠ざかってしまうので実例を通して身体で覚えていく方がいいでしょう。
「STEP01」で紹介した動画教材でも「音声変化」について説明してくれているものが複数あります。初めの段階はそのようなインストラクションを元に「音声変化」を理解し、基礎的な構造を理解できた段階で英語の学習目的にあった教材を元に学習していきましょう。
例えば先ほど紹介した「Rachel English(チャンネル)」で以下のような動画はオススメです:
ここまで完璧に音を再現できるようになったら、英語の理解度もかなり高くなっている状態です。
試しに少し長めの長文を音読してみましょう。発音を学習する前よりも、英語のリズムに合わせて読めるようになっていて、より自然に英語を理解できるようになっているはずです。
このレベルまできたら「量」のトレーニングです。様々な国の人の発音を聞いて、イレギュラーに対応できるように音を知識に蓄えていきましょう。
異なる国の人の英語を聞く場合にオススメしたいのが「Elllo」というウェブサイトです。様々な国の人たちの実際の会話を音源付きで再生することができるので、アメリカ・イギリス英語以外に慣れるにはとても良い教材になると思います。
様々な国の英語の発音を学習するのに参考になるサイト:
発音習得における勉強方法とテクニック
発音の習得は「運動」と同じ! 勉強しすぎても学習効果は上がらない
発音を効果的に習得すためには、基礎を理解した上でとにかく実際に声に出してみましょう。発音は「運動」と同じで、感覚的に身体に覚えさせることが重要だからです。
注意する点は、運動に「オーバーワーク」があるのと同じように、発音の練習もやりすぎると再現率が向上しない境界線があります。専門用語で「高原状態(伸び悩み)」と言い、同じ音源の録音と発音練習のセットを5回以上おこなっても学習効率は著しく低下します。
以上のことを考慮すると、個人的にオススメな学習時間は「一つの発音記号」に対して「(動画視聴を含めて)5分以内」です。ある程度理解ができたらすぐに発音と録音を5回おこないましょう。
最後に録音した音源は保存し、翌日も復習として「同じ発音記号」の練習をおこないます。この作業を実際の音源を再現できるまで繰り返しましょう。
発音記号はおよそ40あるので、かなり多く見積もっても「5時間」STEP1とSTEP2に投資すれば発音の基礎は習得できるようになるはずです。
コツコツ勉強はNG!効果的なテクニックは一気に覚えてどんどん忘れる
突然ですが日常的にスポーツをしている時に、数日休憩した後の方がスムーズに身体が動くという経験はありませんか?
寝ている間に脳内で「必要な情報」と「必要でない情報」が整理されることで、アウトプットがスムーズになります。この現象と同じことが発音習得においても起こるのです。
「必要な情報」が定着する一方で、「必要でない情報」はどんどん忘却されます。学習から時間が経つと忘却の割合は上昇します。これを専門用語で「忘却曲線」と言います。
つまり、コツコツ学んでいると学習の後半には前半の内容の8割以上を忘れているなんてことがおこります。
この忘却のプロセスを防ぐ効果的なテクニックは、網羅的に知識をインプットすることを繰り返すことです。
「今日は5つ発音記号をじっくり習得しよう!」ではなく、「今日は「母音」をさっくり習得しよう!」くらいの感覚で学習しましょう。1つの発音記号に投資する時間を減らして、短時間で一気に一定量の知識を詰め込みます。
「覚えても忘れるもの!」という意識をもって、理解しようと意気込むのではなく「確認する」程度の気持ちで脳内に無意識にインプットさせましょう。無意識の知識でも、寝ている間に記憶に定着してどんどん発音が上達していくはずです。
まとめ
遠回りに見えても発音習得で英語の習得速度は劇的に高まる
私たちは受験勉強で染み付いた習慣から、どうしても「勉強」と考えると参考書を買って黙々と知識をインプットすることに集中してしまいがちですよね。
過去の成功体験からコツコツ勉強もしてしまいがち。「この勉強方法で今までやってきたのだから自分に合っているはず!」と無意識に思い込んでしまいます。
点数を取るための勉強ならば、実際に効果があるかもしれません。しかし言語習得はコミュニケーションの手段。「Aを覚えたからBという結果が出る」というシンプルな数式ではありません。
先ほど「発音習得は運動と同じである」と表現しましたが、言語習得を運動と考えると少し気持ちが楽になるかもしれません。
いきなり試合に出ても勝てるはずがありませんよね? いきなりハードなトレーニングをしても上達しません。一方でトレーニングの指導書を読んでいるだけでも試合には勝てないのです。
重要なことは基礎の原理を理解をした上で実践し、結果を検証して次に活かすプロセスだと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでもこの記事が助けになれば幸いです。
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